
はじめに
相続とは、亡くなった方の財産を引き継ぐことです。家や土地などの不動産を相続するときは、手続きや税金のしくみが分かりにくいことがあります。
そこで本記事では、不動産相続にともなう税金に注目し、以下のポイントを解説します。
- 相続税や不動産を相続したときにかかる主な税金
- 不動産の評価額を計算する方法
- 税金の減額や控除を受けられる制度
- 税金に関する相談先の概要
この記事を読むことで、不動産相続に関する疑問を少しでも解消できれば幸いです。
難しい用語はできるだけ簡単に説明しながら、安心感と具体的なヒントをお伝えしたいと思います。
本記事の対象読者
本記事は不動産を相続した人や、将来に備えて情報を集めたい人などを想定しています。
不動産を売却・購入する可能性を考えている方も、あわせて参考にしてみてください。
不動産相続にまつわる税金
相続は大切なご家族を失う出来事である一方、相続税などの税金が生じることもあります。特に不動産を相続する場合は金額が大きくなる可能性があり、正しい知識をもたないと負担を大きく感じてしまいがちです。
相続税には基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)があります。この控除額以下の財産しかない場合は相続税がかからないため、まずは自分たちの財産を大まかに把握することが大切です。
また、相続税には配偶者控除や小規模宅地等の特例など、税負担を軽くできる制度もいくつかあります。
ここからは、不動産相続に関わる各種税金や計算方法、納付期限、さらに減額制度や相談先などを詳しく解説していきます。
相続した不動産の評価額を算出する方法
土地の評価方法
相続税を計算するとき、まずは相続した土地の「評価額」を決める必要があります。土地の評価方法には、大きく分けて
路線価方式と倍率方式の2種類があります。
- 路線価方式
・道路ごとに国税庁が発表している「路線価」をもとに計算します。
・市街地など、主要な道路に面する土地の評価によく使われます。
・詳しくは国税庁のホームページで、路線価図を確認できます。 - 倍率方式
・路線価が設定されていない地域の土地を評価するときに用いられます。
・土地の固定資産税評価額に、国税庁が公表している「倍率」を掛けて算出します。
・倍率の詳細も国税庁で調べられます。
家屋の評価額
家屋の評価額は、基本的には固定資産税評価額と同じです。アパートやマンションなどを相続した場合は、入居者(借家人)がいると評価額が下がる場合もあります。
ポイント
不動産の相続税評価額は、実際の売買価格(時価)より低めになることが多いです。
そのため相続税の負担は軽くなりやすい一方で、遺産分割のときに「時価」と「評価額」の違いがトラブルにならないよう注意が必要です。
土地の形状による評価額への影響
同じ広さの土地でも、形状や立地条件によっては評価額が下がるケースがあります。例としては以下のようなものがあります。
- 日影による減額
大きなビルの隣で常に影になりやすい土地は、利用価値が下がるため評価額も低くなることがあります。 - 間口が狭い土地
道路に面している幅(間口)が極端に狭いと、使いにくい土地とみなされ、評価額が下がりやすくなります。 - 奥行が長い土地
間口に対して奥行が深すぎると、全体的に利用しづらいと判断され、評価額が低くなることがあります。
建築中の家屋の評価
相続発生時点で建築途中の家屋の場合、実際にかかった建築費の70%が評価額となるのが基本です。
不動産相続後に発生する税金の種類
不動産を相続すると、次のような税金がかかる可能性があります。
- 相続税
相続した財産全体から基礎控除額を引いた残りにかかる税金です。基礎控除内ならかかりません。 - 登録免許税
不動産の名義を相続人に書き換える(相続登記)ときに必要な税金です。 - 印紙税
遺産分割協議書などの文書に貼る印紙代です。協議書を正式に作成する場合などに必要です。 - 譲渡所得税
相続した不動産を売却するときに発生する税金です。売却益(もうけ)があった場合にかかります。 - 固定資産税・都市計画税
不動産を所有している限り、毎年支払う必要があります。都市計画税は市街化区域の土地や建物が対象です。 - 不動産取得税
遺贈により不動産を取得した場合は課税されますが、相続による取得の場合は非課税です。
各税金の計算方法と納付期限
相続税
相続税は、相続した財産総額から基礎控除額を引いた金額が課税対象になります。税率は課税遺産総額に応じて10%から55%まで段階的に上がります。
- 基礎控除額
3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
- 相続税額
(課税遺産総額 × 税率) - 控除額
相続が始まったことを知った日の翌日から10か月以内に、申告と納付を行います。期限を過ぎると延滞税などのペナルティがかかる可能性があるため注意しましょう。
登録免許税
- 計算方法:固定資産税評価額 × 0.4%
- 納付のタイミング:相続登記を申請するとき
固定資産税・都市計画税
- 固定資産税:固定資産税評価額の1.4%が一般的な目安
- 都市計画税:固定資産税評価額の0.3%が多い
- 納付方法:年4回など、自治体から送付される納付書に従って納めます
譲渡所得税
計算式:譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用 + 特別控除額)
相続した不動産を売ったときの「譲渡所得」に対して、所有期間5年以下の場合は39.63%、5年超える場合は20.315%の税率がかかることが多いです。翌年の確定申告時に納めます。
税金の減額や控除を受けられる制度
相続税には、税金を減らすためのさまざまな特例・控除があります。主なものをご紹介します。
- 基礎控除
3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
が必ず控除されます。 - 配偶者控除
被相続人の配偶者には大きな控除が認められ、「1億6,000万円」または「法定相続分」の多い方まで非課税にできます。 - 小規模宅地等の特例
居住用や事業用として使っていた土地の評価額を最大80%引き下げられます。一定の要件を満たす必要があります。 - 未成年者控除
相続人が20歳未満の場合、1年につき10万円を相続税から差し引けます。 - 障害者控除
相続人が障害者の場合、1年につき10万円(特別障害者は20万円)を控除できる制度です。 - 相次相続控除
前の相続から10年以内に新たな相続が起こった場合、前回支払った相続税の一部を差し引くことができます。 - 贈与税額控除
相続開始前3年以内に受け取った贈与に関して、すでに払った贈与税を相続税額から差し引く制度です。 - 特定計画山林の特例
条件を満たす山林を相続するとき、評価額が下がる特例があります。
家なき子特例
「被相続人と同居していなかった親族」が居住用の小規模宅地等の特例を受けるための特別な規定です。いくつか要件があるため、詳細は専門家に確認すると安心です。
不動産相続に関する税務相談窓口
不動産相続や相続税の手続きに困ったら、以下の機関や専門家に相談できます。
- 税務署
相続税の申告や納付手続きなど、基本的な相談ができます。 - 国税局電話相談センター
国税全般についての一般的な質問を電話で受け付けています。 - 税理士会
無料相談会やセミナーを定期的に開いていることがあります。具体的なケースにあったアドバイスを得られます。 - 税理士事務所
相続税の計算や申告の代行を依頼できます。実務を任せたい場合に便利です。 - 市役所・区役所
税務相談を行っている自治体もあります。簡単な疑問なら相談してみてもいいでしょう。 - 相続登記相談センター
相続登記のための手続きや必要書類について案内してくれます。司法書士がサポートしてくれます。
税理士に相談する際の費用や注意点
税理士に正式に依頼する場合は、費用がかかります。報酬の金額は遺産の総額や依頼内容によって変わるのが一般的です。
注意点
- 相続税に詳しい税理士を選ぶ
相続税の経験が豊富な税理士なら、特例の活用や不動産評価についても的確にアドバイスをしてくれます。 - 費用や報酬体系を事前に確認
相談料、申告書の作成費など、どのような料金がいくらかかるのか、はっきり確認しておきましょう。 - セカンドオピニオンも視野に
大きな金額が動く場合は、複数の税理士に意見を聞く方法もあります。評価方法や特例の使い方など、税理士によって見解が異なる場合があります。 - 税務調査が入るケース
申告後に税務署が調査にくることがありますが、税理士が立ち会って対応してくれることも多いです。 - 早めに動くことが大切
相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」です。期限が迫ると焦ってしまいがちなので、余裕をもって進めましょう。
相続税の申告と納付
相続税は、期限内に申告・納付しないと、延滞税やペナルティ(無申告加算税など)が課されることがあります。
相続人が複数いる場合、遺産分割協議を進めながら、なるべく早めに税理士や専門家へ相談しておくと安心です。
まとめ
不動産の相続では、相続税や固定資産税などさまざまな税金を考えなければいけません。手続きや計算がややこしくなることも多いですが、以下の点を意識しておくと落ち着いて対応できます。
- 財産の評価をきちんと把握する
まずは不動産の評価額を知り、相続税の対象になるかどうかを確認しましょう。 - 申告期限に気をつける
相続が始まった翌日から10か月以内に手続きを終わらせる必要があります。 - 控除・特例を上手に使う
配偶者控除や小規模宅地等の特例など、税金を減らせる制度を積極的に検討しましょう。 - 早めに専門家に相談する
税理士や司法書士、税務署などに相談すれば、具体的なアドバイスが得られます。
引用サイト
- 税についての相談窓口 – 国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shirabekata/9200.htm
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