「任意売却をしたいけれど、何から始めればいいかわからない」——多くの方が最初にぶつかる壁です。
この記事では、相談から売却完了までの流れを5つのステップに分けて解説します。各ステップで「誰が」「何を」「どのくらいの期間で」行うのかを明示しますので、全体像をつかんだうえで最初の一歩を踏み出せるはずです。
任意売却の基本についてはS1 任意売却とはの記事へをご覧ください。
全体像——5つのステップとスケジュール

まず、全体のタイムラインを確認します。
| ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| STEP1 | 相談・現状の整理 | 今日〜1週間 |
| STEP2 | 査定と債権者への打診 | 1〜3週間目 |
| STEP3 | 販売活動 | 1〜3ヶ月目 |
| STEP4 | 売買契約と決済 | 3〜4ヶ月目 |
| STEP5 | 引き渡しと生活再建 | 4〜5ヶ月目 |
全体でおおむね3〜6ヶ月です。ただし、競売手続きが進行中の場合は入札期日までに完了させる必要があるため、スケジュールが短縮されることがあります。競売との関係についてはS2 競売との違いの記事へで詳しく解説しています。
STEP1 相談・現状の整理(今日〜1週間)

何をするか
まずは専門の不動産会社に相談し、現状を整理します。この段階で費用は発生しません。
整理するのは以下の3点です。
- ローンの残債額:金融機関から届く「残高証明書」や「返済予定表」で確認します
- 物件の市場価格:不動産会社が査定を行います
- 滞納状況と競売の進行度:督促状、期限の利益喪失通知、競売開始決定通知など、届いている書類を確認します
相談時に持参するとよいもの
- ローンの返済予定表または残高証明書
- 届いている督促状・通知書
- 固定資産税の納税通知書
- 物件の間取り図や購入時の資料(あれば)
すべて揃っていなくても相談は可能です。まずは手元にある書類だけで構いません。
この段階で決まること
- ローン残債と市場価格の差額(オーバーローンの額)
- 手続き可能かどうかの初期判断
- 今後のスケジュールの見通し
STEP2 査定と債権者への打診(1〜3週間目)

何をするか
不動産会社が物件を査定し、その結果をもとに債権者(金融機関や保証会社)に任意売却の同意を求めます。
具体的には以下の手順で進みます。
- 物件査定:不動産会社が現地を調査し、周辺の成約事例をもとに売出価格を算出します
- 媒介契約の締結:売主(あなた)と不動産会社の間で媒介契約を結びます。宅地建物取引業法に基づく通常の契約です
- 債権者への打診:査定価格と売却計画を書面で債権者に提出し、同意を求めます
債権者の同意がなぜ必要か
住宅ローンが残っている物件には「抵当権」が設定されています。通常の売却ではローンを完済して抵当権を抹消しますが、売却額がローン残高を下回る場合、完済できません。このとき、債権者に「残債が残ることを承知のうえで抵当権を外してください」と依頼する必要があります。これが同意を得る理由です。
複数の抵当権者がいる場合(例:住宅ローンの銀行+カードローンの会社)は、全員の同意が必要です。不動産会社が各債権者と個別に交渉を行います。
この段階で決まること
- 売出価格
- 債権者の基本的な同意
- 売却代金の配分案(仲介手数料・登記費用・滞納管理費等の控除)
STEP3 販売活動(1〜3ヶ月目)

何をするか
債権者の同意が得られたら、物件の販売活動を開始します。
販売方法は通常の不動産売却と同じです。不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME’S等)への掲載、レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録、自社の購入希望者への紹介などを行います。
売主が行うこと
- 内覧の対応(居住中の場合)
- 引っ越し先の検討を並行して始める
販売活動中も通常の生活を続けられます。「売り出し中」であることは、外から見てわかるものではありません。
注意点
時間制限があります。競売が進行中の場合は入札期日までに買主を見つけて契約する必要があるため、価格設定が重要です。「少しでも高く」という気持ちは理解できますが、市場価格を大きく上回る価格では買い手が付かず、時間切れになるリスクがあります。
不動産会社が市場動向を見ながら適正価格を提案しますので、信頼できる会社と密に連携することが大切です。
STEP4 売買契約と決済(3〜4ヶ月目)

何をするか
買主が見つかったら、売買契約を締結します。
- 売買契約の締結:重要事項説明を受けたうえで、売主・買主が契約書に署名捺印します
- 債権者の最終同意:契約内容(売却価格・配分案)について、債権者から正式な同意を得ます
- 競売の取り下げ:競売が進行中の場合、債権者が裁判所に取り下げを申請します
- 決済・所有権移転:買主が売却代金を支払い、所有権が移転します。同時に抵当権が抹消されます
売却代金の流れ
売却代金は以下の順序で配分されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円+消費税 |
| 登記費用 | 抵当権抹消登記の司法書士費用 |
| 滞納管理費等 | マンションの場合、滞納した管理費・修繕積立金 |
| 引っ越し費用 | 債権者の承認があれば10万〜30万円程度 |
| 残額 | 債権者(金融機関・保証会社)への返済 |
売主が事前に用意する費用はありません。仲介手数料も含め、すべて売却代金から差し引かれます。この仕組みについて詳しくはS1 任意売却とはの記事への費用の項目をご覧ください。
STEP5 引き渡しと生活再建(4〜5ヶ月目)

何をするか
決済から引き渡しまでは通常1〜2ヶ月の猶予があります。この間に以下を進めます。
- 引っ越し:新居への移転。賃貸住宅を探す場合、不動産会社が協力することもあります
- 残債の返済計画の確定:債権者と正式に分割返済の条件を取り決めます。月々1万〜3万円程度が一般的です
- 生活の立て直し:新しい環境での生活をスタートします
売却後の残債について
売却額でローンを完済できなかった場合、差額が残債として残ります。多くの場合、債権者と交渉のうえ、月々無理のない金額での分割返済が認められます。
返済が根本的に困難な場合は、自己破産や個人再生といった法的整理も選択肢に入ります。この判断は弁護士・司法書士にご相談ください。
必要書類のまとめ

手続きを通じて必要になる書類を一覧にしました。
| 書類 | 入手先 | 必要な時期 |
|---|---|---|
| 身分証明書(運転免許証等) | — | STEP1〜 |
| 印鑑証明書 | 市区町村役場 | STEP4 |
| 住民票 | 市区町村役場 | STEP4 |
| 実印 | — | STEP4 |
| ローン残高証明書・返済予定表 | 金融機関 | STEP1 |
| 固定資産税納税通知書 | 市区町村から届くもの | STEP2 |
| 権利証(登記識別情報) | 購入時に受け取ったもの | STEP4 |
| 建築確認済証・検査済証 | 購入時に受け取ったもの(あれば) | STEP2 |
| 管理規約(マンションの場合) | 管理組合 | STEP2 |
すべてが最初から必要ではありません。段階ごとに準備していけば大丈夫です。書類が見当たらない場合の代替手段もありますので、ご相談ください。
北海道で検討されている方へ
当社はオホーツク・旭川圏で任意売却の手続きに対応しています。地域ごとの裁判所の状況や金融機関の特徴について、エリア別にまとめています。
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よくあるご質問
相談から完了まで、最短でどのくらいかかりますか。
最短で2〜3ヶ月程度です。ただし、これは買主がすぐに見つかった場合の話です。一般的には3〜6ヶ月を見込んでください。競売が進行中の場合は、入札期日までに完了させる必要があります。
手続き中もそのまま住み続けられますか。
はい。売買契約の決済・引き渡しまでは、通常どおり住み続けられます。販売活動中に内覧が入ることはありますが、事前に日程を調整しますのでご安心ください。
不動産会社はどう選べばよいですか。
債権者との交渉実績があること、弁護士・司法書士と連携していること、地域の不動産市場に詳しいことが重要です。相談の段階で費用が発生する会社は避けてください。
ローンの保証人に影響はありますか。
連帯保証人がいる場合、残債について保証人に請求される可能性があります。売却前に保証人に状況を説明しておくことをお勧めします。法的な対応については弁護士にご確認ください。
自己破産と任意売却は同時にできますか。
可能です。自己破産を検討中の方でも、先に任意売却で自宅を売却し、残債を減らしてから法的整理に進むケースがあります。弁護士と不動産会社が連携して進める形が一般的です。
まとめ — 全体像が見えれば、動き出せる
任意売却の流れは、相談→査定→販売→契約→引き渡しの5ステップです。全体で3〜6ヶ月。各段階で何をすればよいかがわかれば、漠然とした不安は具体的な行動に変わります。
最初のステップは、今の状況を専門家に話すことです。お電話でも、メールでも、LINEでも構いません。書類が揃っていなくても大丈夫です。まずは話すところから始めましょう。
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